第1回(1月26日)

第2回(2月10日)

第2回「知っていますか?在日外国人の悩み。そこから見えるものを考えよう。」

論点1:外国人に厳しい日本の入管行政から見えるものについて

川口

それではまず、いろんな問題がありますが、ある程度絞って進めてまいりたいと思います。 間嶋さん、劉さんの基調講演の中においていろんな問題が提起されていますが個々について取り上げていくことは 時間的に無理がありますので、その中から何点か絞って取り上げていきたいと思います。
まず、間嶋さんの基調講演をお聞きになって、日本で生まれ育ちかつ外国籍である行政書士の姜さん、 「日本人と日本国籍等について」、また日本における入管行政から何が見えてくるのか感じられていることはありますか。

今日のテーマの前提の話として要請されていると思いますが、まず、日本国籍ということについて言及してみたいと思います。 戦前から日本に在住していた外国人の中で、日本の旧植民地出身者と言われる朝鮮半島出身者、 それから台湾出身者の人々は1952年4月まで日本国籍を持っていました。

日本が国際社会に復帰するサンフランシスコ平和条約の発効によって、 国際社会に復帰したときに初めて作った法律が外国人登録法なわけです。 (※注 天皇に依る最後の勅令としてこの法律施行前日までに存在したのが外国人登録令であり、 日本国籍を持つ人々を外国人とみなして適用しました) しかも、一片の通達で日本国籍を剥奪し、外国人としたわけです。

ですから、1945年の日本の敗戦以後、約7年間にわたって日本の国内にいる外国人は、 わずかな人を除いてアメリカの占領軍を除いては法的にはいなかったといえます。 しかし、実際は朝鮮民族あるいは表現は難しいのですが台湾出身者の人々は民族的にも国家的つながりも違うわけですから、 敗戦後日本は彼らから参政権あるいはさまざまな国民的権利を全部剥奪していました。(※注これが先ほどのみなし規定です。)

私がここで言いたいのは、日本国籍というものを持ちながら7年間朝鮮半島出身者や台湾出身者は 外国人として扱われたという事実です。そして、1952年のサンフランシスコ平和条約発効後、 日本は最初に外国人の取締を目的とした外国人登録法を制定し、取締の対象としての外国人を実態にあうように法的整備が なされたわけです。ということは、国籍というのはその時その時に国家によって自由に取り扱われているのだということを 考えてほしいのです。

そして現在問題になっている外国人の問題というのは、基本的には国籍によって分けているということです。 国籍を唯一の形で人を判断することによって、いろんな問題が起きてくるということが注意すべき点だと思います。 私の家族で言えば、私だけが日本国籍を一度も持ったことがない韓国籍の者であり、 私の姉を含めて両親全員が日本国籍を持って日本に在留したことがあります。 ということは、本人の判断、情勢に関係なく国籍があるということです。

川口

日本で生まれ、日本で育ち、現在まで日本で生活している、私は姜さんのような方を外国人と呼ぶことに 個人的には少し抵抗を感じています。特に韓国人、中国人の方々は、外見からはわかりません。 今言った国籍によって全て判断しているところに何か問題があるのではないかということではなかったかと思います。

次に劉さんの基調講演をお聞きし、「岡山で暮らす外国人女性問題研究グループ」で活動を続けておられます入野さん、 活動を通じて感じられたこと、また、日常の生活で見える違い等について感じられていることが何かありますか。

入野

まず最初に私のグループが何をしているのか、「岡山で暮らす外国人女性問題研究グループ」の紹介をさせていただきます。 私たちは、岡山市の男女共同参画社会推進センター、「さんかく岡山」の市民共同事業として研究グループを立ち上げました。 さきほど、劉さんのお話しにもありましたように実際に外国からいらした女性の方々が非常に困っておられる。 そういう方達に何か私たちでできることはないかとの思いからこの会を始めました。 実際に学ぶだけでなく行動を起こそうということで、今年度はそういう方達に相談窓口の情報がなかなか行き渡っていないように 思えるので、一括した相談窓口を一時的にしろご案内できるようなリーフレットを作るため、今最後の段階に入っています。

いろいろ離婚等々の問題があるのは十分わかっていますが、このグループの中には、国籍、性別、 年齢にかかわらず志を同じくする方が集まっています。その方達と一緒に活動していて日々の生活の中で感じられたことを ここでお話させていただきます。

まず、やはり環境とか文化が違うということで感性が違っています。私たちが、最初に「外国人女性問題」 という名称を付けたときに、中国から来ている彼女から「女性問題と言われたら、私たちの存在が問題だというふうに 取られませんか。」というご指摘がありました。日本人の私たちは「・・・問題研究会」と何の抵抗もなく使いますが、 実は、当事者の方達にとってはそれが自分たちの存在価値に関して不安に感じられる要素でもあるわけです。 そういうことは日本で暮らしている私たちにはわからないことです。ですから、そういう方達のご意見をいただいて、 ともに学ぶいい機会を今作っています。

それから色々な話しの中で、「子どもにピアスを付けたいけれども、ピアスをしていると日本人に不良みたいに思われて いませんか。」というお尋ねがありました。「でも、自分たちの国では、その子どもの幸せを願ってピアスを付けます。 日本におけるお守りと同じなんですよ。」ということをお聞きして、なるほどやっぱりと思いました。

また、学校現場の話では、「日本の学校では、おはじきのような物まで一つひとつ名前を書くように学校から言われますが、 (・・・笑っておられる方はたぶんご経験あると思うのですが、一つひとつに名前を書いてくださいと学校から言われるんですね。) どうして日本の学校では一つひとつ名前を書くのですか。」とのお尋ねがありました。 私たち日本人も何でここまでしなければいけないの、と思います。そういう気づきを与えていただいています。

それから、最初にお話しましたが、私たちは何か助けてあげたいと思ってお尋ねすると、 「いや、そういう問題もあるけれども実は、幼稚園に通っている子どものお弁当を日本のお母さんは すごくカラフルでおいしそうに作られる、そういうお弁当を自分も子どもに作りたいのだけど、どうしたらいいんでしょうか。」 そういうお尋ねもありました。ですから、多方面にわたって、生活の中で私たちが気づかないようなお尋ねであったり、 私たちにはわからない気づきというものをたくさん持っていらっしゃるということを今感じています。 そして一緒にいろいろな活動をすると非常に力強い仲間です。一緒に働いていく・一緒に活動していくすごく力強い仲間だ、 ということを強く実感しています。生活面でそういうことを感じながら日々暮らしています。

川口

ありがとうございます。今のお話の中では、私たちが日常の生活の中で暮らしていて、 自分たちにはおかしいと思わないようなことがおかしいということもあるということに気づかされた。 というお話であったかと思います。

もう少し、今の外国人登録の問題であるとか、入管の問題につきまして、話しを続けますが、 H19年12月の山陽新聞に「夫の家庭内暴力で別居し、外国籍で住民票登録できない岡山市の韓国籍女性が夫の 死後に裁定を得た遺族厚生年金の受給資格を取り消されたのは違憲であるとして国に対して不支給処分の取り消しを 求める訴えを岡山地裁に提訴する予定である。」という記事が出ておりましたが、 間嶋さんの話しの中にも出てまいりました外国人登録制度の問題点も含まれているかもしれません。 日本人ならば世帯が別でも住民票の住所が同じであれば支給が認められる事例とされています。

韓国籍女性は外国人登録の居住地で資格が判断され、受給要件に該当しなかったとされたもののようです。 これからの裁判であり軽々に申し上げられませんが、「平等を定めた憲法第14条に違反し、外国人差別にもつながる事例」 ではないかと思われます。

外国籍の方の目から見て、日本の各種施策で、不便や不満を感じられていることがいろいろあると思います。 劉さんのお話の中でも特に留学生の方のその後の就職の問題などの事例が話されましたが、 劉さんのほうから在留資格等の問題で何か付け加えることがありましたらどうぞ。

はい、岡山に在住する私たち中国人の立場から特に最近嫌なことがありました。 昨年11月20日から全国的に法務大臣が入管を通して実施したことなんですね。 私のように日本で生まれて、日本で教育を受けて、現在も日本でがんばっている私たちも含めて、 祖国へいったん帰って日本に入るときには必ず写真をバチッ、また指紋も取られるのですね。はっきり言ってびっくりしました。

私と副会長の張建光くんと広島入管岡山出張所に申し入れをしました。すると統括は、私たちの申し入れを見るなり、 「あなた方は関係ないですよ、あなた方は別よ。」と答えたのです。「統括それが本当なら私たちはこんな抗議行動はしません。 私たちも対象なんですよ。」と反対に統括に説明したんです。そんなもんです。そんなレベルなんです。 しかし、所長はやっぱり違いましたね。きちんとこの問題を捉えていました。統括という立場の人が全然この問題を無視し、 「岡山県庁を通して説明しています。」というから、県庁の国際課に聞きに行きましたら、そしたら「聞いていません。」という。 「よく調べてください。」というと後から「あっ、ありました。」という。 新しい制度が施行されるにあたって、私たち対象者に説明がないですよ。これが現状です。

特に一番問題にしたいのは、台湾籍の人は除く、それ以外はみんな対象なんです。 そしてアメリカですら、2回目以降の出入の際にはやらないんです。日本だけです。 何回も中国に学生を募集に行く、また何回も出入国のたびに写真を取る、指紋を取る。 日本の皆さんは怒らないとだめですよ。税金の無駄使いですよ。今の鳩山法務大臣、アルカイダがどうのこうのと。 その人がやっているですよ。私たちがアルカイダですか、私たちがテロの犯人ですかと言いたいですよ。 日本人もあったんでしょう。それが本当に心配なら全員やったらいいんです。なぜ差別するんですか。

そういったことで私たちは、日本の方々はもっともっと理解してほしい。 日本の政治家を通して、こういう制度は早くなくしていきたいと思っています。

川口

はい、今新しく制度ができました、テロの未然防止のために、 上陸審査時に特別永住者等を除く外国人に指紋等の個人識別情報の提供を義務づけました。 指紋を採られるということがどういうことであるか皆さんは考えたことがあるでしょうか。

私は中学生のころ家に泥棒に入られ、警察から家族全員5本の指全部の指紋を採られたことがありますが、 何もしていないのに指紋を採られたときの何とも言えない嫌な気持ちになったことを思い起こします。 そういう指紋を採るということ自体に問題がありはしないかという劉さんの訴えには非常に理解できるところであります。 そのあたりについて姜さん何か考えられていることがありますか。